誰でもわかる法律用語集

誰でもわかる法律用語集

この用語集は,法律的に完璧なものではありません。
法律用語になじみのない人に,始めに説明するときに出来るだけ分かるようにお話しするときの言葉です。
まだまだわかりにくいならご意見ください。善処いたします!!


50音順索引

用語

悪意(あくい)

法律的な手続が成立するかどうかに影響を及ぼす可能性のある事実・事情につい「知っている」ことを悪意といいます。対して「知らない」ことを善意と言います。
道徳的な悪意・善意とは意味が異なるため,誤解の無いように。

リンク先:善意(ぜんい)

遺言(いごん)

人が死亡する前に,死後,自分の遺産をどのように分けたり相続させたりするかについて,意思表示をするものです。
自筆証書遺言,公正証書遺言などの種類があり,それぞれ書き方の決まりを守らないと有効な遺言になりません。「ゆいごん」に同じ。

遺産分割(いさんぶんかつ)

亡くなった方(被相続人)の財産を分け方を(主に)相続人の間で決めることです。話し合いでの取り決めや,裁判所での調停による場合などがあります。

異時廃止(いじはいし)

破産手続のうち,管財事件においても債権者に対して財産が分配されず手続を終えることを異時廃止事件といいます。

慰謝料(いしゃりょう)

精神的苦痛に対しての損害を賠償するもののことです。

介入通知(かいにゅうつうち)

弁護士が委任された債務者の債務整理事件を受任したことを債権者に知らせる通知の文書のことです。「受任通知」ともいいます。
介入通知をすることで,債権者との交渉窓口は弁護士となります。貸金業者から本人に対する取立ては,ガイドラインにより介入通知以降は禁止されます。

家事事件(かじじけん)

離婚事件,相続事件,子供に関する事件など,家庭裁判所が家族・親族間でのトラブルに関する事件一般のことをいいます。

家事審判(かじしんぱん)

家事事件について,審判官(裁判官)が後見的な立場で判断して決定をおこなう手続のことです。その判断自体のことも「審判」という。

家事調停(かじちょうてい)

家事事件について,家庭裁判所で調停委員を間に介し,話し合いによる解決をする手続。あくまでも話合いによる手続のため,話合いがまとまらなかった場合には,別の手続を取る必要がある。

過払金(かばらいきん)

債務者が利息制限法の制限を超える金利を支払って借入をしていた場合,適正利率で引き直し計算すると,本来支払うべき金額より支払い過ぎたことになったときの,その金額のことを言います。

仮差押(かりさしおさえ)

相手方に対する金銭債権を確保するため,相手方の財産(預貯金や不動産など)を処分させないよう,裁判などでの債務名義をもらう前に,仮に差し押さえる裁判所の手続を言います。またはその決定自体のことも「仮差押」「かりさし」と呼びます。原則として,担保(保証金)を納める必要があります。
債務名義をもらったあとの手続を本差押えと呼びます。

仮処分(かりしょぶん)

相手方に対する権利(金銭債権以外)を確保するため,裁判などでの債務名義をもらう前に,相手方がその権利を処分することを仮に禁止したり,相手方に仮に行動を命じたりする裁判所の手続,またはその決定のことを言います。原則として,担保(保証金)を納める必要がある。
例えば,不動産を処分することを禁止したりすることです。

管轄(かんかつ)

それぞれの事件について,どの裁判所が担当するかの取り決めのことです。
場所に関する「土地管轄」と,どの裁判所が扱うか(地方裁判所か,家庭裁判所か,簡易裁判所かなど)に関する「事物管轄」があります。

管財事件(かんざいじけん)

破産事件において,裁判所より破産管財人が選ばれ,その破産財団と分配に向けての手続を行うことを「管財事件」といいます。対して,破産管財人が選ばれず,直ぐに手続を終えることを同時廃止事件といいます。
なお,管財事件においても債権者に対して財産が分配されず手続を終えることを異時廃止事件といいます。

強制競売(きょうせいけいばい)

判決などの権利があることを確認された書類「債務名義」に基づいて,裁判所に財産を強制的に競売にかけるよう求め,売却を行う手続のことです。強制執行の一種です。

強制執行(きょうせいしっこう)

判決などの権利があることを確認された書類「債務名義」に基づいて,裁判所に対し,それを強制的に実現させることを求める手続の全般のことです。債権執行,動産執行,不動産執行,間接強制などが色々な手続が存在します。

競売(きょうばい)

法律の用語では「けいばい」と読みます。

リンク先:競売(けいばい)

グレーゾーン金利(ぐれーぞーんきんり)

利息制限法の利率と出資法の利率の間の金利のことをいいます。2009年12月19日に廃止されました。
本来なら,利息制限法の制限を越える金利は無効なはずなのですが,貸金業法はこのゾーンの金利について、出資法を越えない部分は債務者が任意に支払った場合は一定の要件を満たせば有効な弁済とみなされるとしていました(みなし弁済)。

刑事事件(けいじじけん)

刑事罰の対象となる裁判手続一般のことを言います。

競売(けいばい)

裁判所において,不動産を強制的に売却する手続のことです。
抵当権などの担保権の実行としてなされる任意競売と,判決などの債務名義に基づいてなされる強制競売との二種類があります。一般的に,「きょうばい」と言われますが,法律的には「けいばい」と呼ばせます。

原告(げんこく)

民事事件・家事事件において,裁判手続において,請求をしている側のことを,原告と呼びます。対して,請求されている側を「被告」と呼びます。

公証人(こうしょうにん)

「公正証書」を作成する公務員です。他にも,会社の定款の認証をしたりする権限を持っています。公証人が構える事務所を「公証人役場」という。

公証人役場(こうしょうにんやくば)

公証人がいる事務所です。全国各地に存在します。
奈良県では,奈良市内と大和高田市内の2ヶ所にあります。

公正証書(こうせいしょうしょ)

公証人が作成する正式に認められる文書です。公証人役場においても保管されるため,「無かったこと」にはされにくい文書になります。
所定の文言「強制執行受諾文言」が含まれている場合,判決をしなくても金銭債権の強制執行をすることができます。任意後見契約など,公正証書を作成しなければいけない契約もあります。

国選弁護人(こくせんべんごにん)

被告人が弁護人を選任するだけの資力がない場合に,裁判所(国)が選任する弁護人のことをいいます。
被疑者段階(裁判にかけられる前の段階)でも,公費により国選弁護人を付けることができる場合があります。
「国選」と略することも多々あります。
対して,私選弁護人・私選といいます。

個人再生(こじんさいせい)

債務整理のうちの一つの種類です。裁判所を通じて行われます。
破産となる恐れがある債務者に対して,債務を圧縮して弁済を可能とする手続です。
法人などを主に対象とした民事再生手続を,個人に対して利用させるための簡易版の手続とされています。
住宅ローンを特別に扱い住宅を確保する特則もあり,住宅を守りたい人には一考の余地があります。

債権(さいけん)

人に対して,法律上請求することのできる権利のことです。

債権者(さいけんしゃ)

債権を有している者のことです。債務関係の手続では,簡単に言うと,お金を貸している人のことを指します。
民事執行事件や保全事件を申し立てを行った側のひとのことを「債権者」と裁判手続き上,呼ばれます。対して,申立をされた側は「債務者」と呼ばれます。

債務(さいむ)

人に対して負っている,法律上の義務のことです。債務整理の手続では,借金とほぼ同じ意味に使われます。

債務者(さいむしゃ)

債務を負う者のことです。債務整理の手続では,借金を抱えた人のことを指します。
民事執行事件や保全事件の申立てをされた側の人のことも「債務者」と裁判手続き上,呼ばれます。対して申立をした側は「債権者」と呼ばれます。

リンク先:債務(さいむ)債権者(さいけんしゃ)/民事執行(みんじしっこう)/保全(ほぜん)

債務整理(さいむせいり)

借金を負った人が,収入や財産が足らず,約束通りの弁済が出来なくなった場合に行う法的な整理手続のことです。主に,任意整理,自己破産,民事再生(個人再生)の手続の事をまとめていいます。

債務名義(さいむめいぎ)

判決書などの権利があることを確認された書類のことをいいます。債務名義に基づいて,裁判所に対し,強制執行の申立てをすることができます。

リンク先:判決(はんけつ)/強制執行(きょうせいしっこう)

差押(さしおさえ)

強制執行手続の一種です。
判決書などの権利があることを確認された書類「債務名義」に基づいて,裁判所に対し,相手方の財産処分を禁止し,その財産を強制的に売却するよう求める手続のことを言います。仮差押えと区別して「本差押え」ということもある。

自己破産(じこはさん)

債務整理のうちの一つの種類です。
自分から破産の手続の申立を行うことです。

私選弁護人(しせんべんごにん)

刑事事件において,被疑者や被告人などが自ら選任する弁護人のことをいいます。対して,国選弁護人・国選。

示談(じだん)

争いのある当事者間で話し合いを行って,解決することを言います。主に,裁判外での解決の事を指します。

リンク先:和解(わかい)

自筆証書遺言じひつしょうしょいごん

遺言を,直筆で記したものです。法律で決められた方式あるので,それが守られていない場合,無効となってしまいます。

リンク先:遺言(いごん)

借金(しゃっきん

お金を返さなければいけない義務を負っているであるので,法律での手続では「債務」と表現されます。

リンク先:債務(さいむ)

少年事件(しょうねんじけん

刑事罰の対象となる事件を起こした少年(一般的に未成年のこと)が,少年法によって,家庭裁判所で手続のことをいいます。

少年審判(しょうねんしんぱん

少年事件において,審判官(裁判官)が行う判断のことを言います。

審判(しんぱん

家庭裁判所の審判官(裁判官)が行う判断ないし決定のことをいいます。家事審判や少年審判がある。

善意(ぜんい

法律的な手続が成立するかどうかに影響を及ぼす可能性のある事実・事情について「知らない」ことを善意という。対して「知っている」ことを悪意と言います。
道徳的な悪意・善意とは意味が異なるため,誤解の無いように。

リンク先:悪意(あくい)

相続(そうぞく

亡くなった方(被相続人)の地位や財産(資産・負債)を法律(民法)に従って受け継ぐことです。法律では,その順番や割合が決められています。
相続をしたくない場合などの手続(相続放棄)は,3ヶ月以内にしなければなりません。

相続人(そうぞくにん

亡くなった方(被相続人)の地位や財産(資産・負債)を法律(民法)に従って相続する(受け継ぐ立場の)人です。

相続放棄(そうぞくほうき

相続人が被相続人の全ての財産(資産・負債)や法的な地位を受け継がないことをいいます。
第三者(相続人ではない人)に対してこれを主張するためには,相続人の間で協議をするだけでは足りません。家庭裁判所で「申述」という手続を行う必要があります。この期間が3ヶ月間と言われています。

代理人(だいりにん

本人(依頼者)から委任を受けて,本人のために,本人に代わって行動する人のことをいいます。弁護士は,主に民事事件・家事事件においては依頼者の代理人として法律業務を行うことになります。ただし,刑事事件は「弁護人」といい,代理人とはことなります。

担保(たんぽ

ある権利を確保するための権利や物のこと。例えば,借入をするときに,代わりに不動産や品物を渡したりします。この不動産や品物が「担保」になります。転じて,担保権や担保物をそう呼びます。
保全事件では,債権者が裁判所の定めた法務局に供託する金銭(保証金)のことを担保といいます。

担保権(たんぽけん

担保(権利を確保)するための権利のことです。例えば,不動産の価値を確保する抵当権などがあります。
担保の対象を競売にかけて現金化することで,優先的に弁済を受けることのできる権利です。

地方裁判所(ちほうさいばんしょ

民事・刑事事件を主に取り扱う裁判所です。全国各都道府県に1ヶ所(北海道には4ヶ所)に本庁が設けられています。また,都道府県内の主要都市に支部や出張所が設けられています。
奈良県では,奈良市に本庁があり,葛城支部,五条支部,吉野出張所があります。

リンク先:管轄(かんかつ)

調停(ちょうてい

裁判所においての話し合いです。裁判官と調停委員が間に入り,お互いの意見を調整しながら争いを解決してまとめる手続です。民事調停, 家事調停などがあります。

抵当権(ていとうけん

不動産に設定される担保権のことです。抵当権を有している債権者は,その不動産を換価処分(任意競売)することで,優先的に債権の弁済を受けることができます。抵当権は,借り入れた金額が決まっているものです。「根抵当権」も存在します。

同時廃止(どうじはいし

破産事件において,債務者(破産者)の財産が少ない場合,管財事件を行うほどの財産を確保できない場合,裁判所が破産手続開始決定と同時に破産手続を終了させることをいいます。略して「同廃(どうはい)」と言います。

同廃(どうはい

同時廃止のことを略してこう言います。

日本司法支援センターにほんしほうしえんせんたー)

愛称を「法テラス」といいます。法的なトラブルを抱えた人に対するサポートを行う機関です。無料相談の制度や,弁護士費用の立て替え制度などもあります。当事務所も登録弁護士ですので,利用することが可能です。
総合法律センター支援法に基づいて設立された独立行政法人に準じた法人であり,法律情報提供・民事法律扶助・国選弁護関連業務等を取り扱っています。

リンク先:法テラス(ほうてらす)/弁護士費用(べんごしひよう)

任意競売にんいけいばい)

抵当権や根抵当権などの担保権を持つ債権者が,債務者から弁済を行われないために,競売を申し立てて,その売却費用により債権回収をはかる手続です。

任意整理にんいせいり)

債務整理のうちの一つの種類です。裁判所で行われる手続きではありません。
当事者(代理人を含む)間で交渉を行って,減額・分割弁済などの和解を取り交わします。

根抵当権(ねていとうけん

不動産に設定される担保権のことです。根抵当権を有している債権者は,その不動産を換価処分(任意競売)することで,優先的に債権の弁済を受けることができます。根抵当権は,借り入れる上限の金額(極度額)が決まっているものです。「抵当権」も存在します。

配当(はいとう

破産事件(管財事件)において,破産管財人が売却などにより換価した破産者の財産(破産財団)を,破産債権者にその債権額や順位に従って分配することをいいます。中間配当や最後配当などの区別があります。
なお,競売手続において,売却代金を届出債権者に配分することも「配当」という。

破産(はさん

自らの財産と収入とでは,自身が有する債務を弁済することが不可能となった状態を裁判所に認めてもらうことです。そのことを破産状態といいます。
裁判所に破産手続開始決定がなされ,破産手続が始まります。

破産管財人(はさんかんざいにん

破産事件において,管財事件となった場合,裁判所から選任され,破産者(債務者)の財産を管理したり,売却などの処分をしたりする人を「破産管財人」といいます。基本的に弁護士の中から選ばれます。

破産財団(はさんざいだん

破産事件において,破産手続開始決定時に存在していた破産者の財産のことです。破産管財人の一切の管理を行います。

破産宣告(はさんせんこく

旧破産法における破産手続開始決定のことです。

破産手続(はさんてつづき

裁判所による手続です。
破産手続開始決定の時点の財産(破産財団)を,同時点の債務者に対して分配する手続です。
このときに明らかに財産が無い場合は,同時廃止事件となります。財産がある場合は,管財事件となります。
また,自然人(法人でない人)である場合,免責手続を併せて行われます。

破産手続開始決定(はさんてつづきかいしけってい

破産事件において,裁判所が破産手続を開始する決定することです。かつては,「破産宣告」と言われていました。

被疑者(ひぎしゃ

犯罪をしたと疑われて捜査機関による捜査の対象となっているが,刑事裁判にかけられる前の段階の人のことを言います。

引直し計算(ひきなおしけいさん)

利息制限法が定める利息を超えた額を利息として支払っていた場合に,払い過ぎた分を元本に充当して再計算することをいいます。この計算により通常は残元本が減少します。場合によっては残元本が0になっているにも関わらず,さらに払いすぎたお金(過払金)が発生していることもある。

被告(ひこく)

民事事件・家事事件において,裁判手続において,請求をされている側のことを,被告と呼びます。対して,請求している側を「原告」と呼びます。
刑事事件においての「被告人」とは異なります。

被告人(ひこくにん)

犯罪をしたと疑われて,刑事裁判を起こされた(起訴された)人のことを言います。

被相続人(ひそうぞくにん)

亡くなられた方のことを言います。対して,その方の地位を引き継ぐ方を相続人と言います。

扶助(ふじょ)

民事上の手続を行いたいが資力がない方の場合に,日本司法支援センター(法テラス)で弁護士費用などを立て替える事業を利用することを指します。

弁護人(べんごにん)

刑事手続において,被疑者や被告人の権利を擁護する活動を行う弁護士などの法律専門家のことを指していいます。国選弁護人・私選弁護人などの区分があります。

法テラスほうてらす

日本司法支援センターの愛称。民事法律扶助・国選弁護関連業務などの業務を行う。

法務局(ほうむきょく

不動産登記・商業登記などの登記手続や供託などの業務を行う場所です。
奈良県内では,奈良地方法務局の他,各地に支局や出張所があり,管轄が存在するものもあります。

リンク先:供託(きょうたく)/登記(とうき)/管轄(かんかつ)

本差押ほんさしおさえ)

差押のことを,仮差押と区別して,「本差押」と呼びます。「ほんさし」とも言います。

民事事件みんじじけん)

個人の間の法的な争い事,主として財産権に関する紛争(金銭的な争い事)の解決を求める手続一般のことです。

免責(めんせき)

破産事件において,破産者が破産手続終了後,破産手続による配当によって弁済されなかった債務について責任を免除されることを言います。

遺言(ゆいごん

法律の用語では「いごん」と読みます。

利息制限法りそくせいげんほう

貸金契約の利息について利率の最高限度(制限利率)を定め、これを超える利息の契約を無効として借主を保護することを目的とした法律のことを言います。

和解わかい

争いをしている当事者がお互いに話し合い,譲歩して解決することを図ることを言います。裁判上の和解と,裁判外の和解とのふたパターンがあります。同じような意味で,「示談」という言葉があります。

和解調書わかいちょうしょ

民事裁判において,裁判上の和解を行い,その内容を記載した調書ことを言います。これは,債務名義といって,確定した判決と同一の効力があり,これにより強制執行も行うことができる。